連載エッセイVol.2を掲載しました

インタープリターへの長い道のり

石浦 章一

科学技術インタープリターを養成するのは、なかなか大変である。もともと、東京大学の大学院に入るような方には、実際自分がやっている研究の他に副専攻として本プログラムを履修するのであるから、少しは能力らしいものと気概が必要であるのだが、どうやら気概も能力同様学習によって出てくるらしく、このたび修了した1期生の中には、数人、これはといった学生がいたので大変嬉しい思いをした。実は、1期生の入学試験の時には、この程度かと落胆していたのであるが、ご協力いただいた先生方と本人たちの研鐙の甲斐あって、多くの知識と行動力を得てくれたことに感謝したい。

驚いたことに受験者の中には、数ヶ月ですぐに作家になれるように勘違いをする者もいたようだが、これは後期課程あたりで能力がないのに医学部や法学部に再受験しようとする学生がうじゃうじゃいる(理由を聞いてみたら、楽に生活ができるからだと!)のと同様、東大生のバカさ加減の表れで、少々寂しい気がしたものである。

1年半たって考えたことは、やはり東京大学には実際にインタープリターとして活躍されている先生方が、どこの大学よりも多くいるので、その方々の動きを見るのが一番いいのではないか、ということである。残念ながらもうお辞めになったが前代表の松井孝典さんはいつどのような方法で冥王星の情報を仕入れているのか、黒田玲子さんは忙しくて講義をする時間もないはずなのにきちんと講義もし、我が国の教育の実際をどこで見聞きしどう政策に生かそうとしているのか、私がこのような文章を朝8時前に来て書いているのを見てくれ(うちの研究室の誰も知らない)、、、。

もともとは、能力が有り余っている人のためのプログラムなので、自分の研究で精一杯の大学院生には無理なのは当然である(賞状だけがほしい人は来ないでくださいね)。私たちは、どれくらいこのような方がいるかわからなかったのであるが、本郷からも柏からも遠征してきてくれる学生がいるということは、インターディシプリナリーな方向を持つ学生がいるのは駒場だけではないということがわかり、大変心強い。アタマと腕と体力に自身のある院生の皆さん、是非、9月の受験にどうぞ。

2007年4月25日号

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