連載エッセイVol.43を掲載しました

日本らしい科学技術のスタイルとは

大島 まり

カタールでのAFCアジアカップ2011において、サッカー日本代表チームSamurai Blueが見事に優勝!!守備はいいが、攻撃が弱く、点が取れないと言われ続けてきた日本チームが、積極的に攻撃し、点を取り返すまでになった。ドーハの悲劇、 1994年アメリカワールドカップ出場をかけたアジア地区最終予選での敗退を知っている世代としては、やっと日本もここまできたのかと、日本サッカーの目覚ましい発展を感じた。優勝後の選手たちのインタビューで、ピッチの選手だけでなく、控えの選手、そしてスタッフが一丸となって得られた結果というコメントが多く、とても印象的であった。チーム全員が肩を組んで国歌斉唱、先輩と後輩の関係を保ちながら練習中も試合中も皆が協力してサポートしていく体制など、他のナショナル・チームでは見られない“ 和 ”を重んじた、良い意味での日本らしさがチームに見られる。最近では、海外で経験を積む選手も多くなってきているが、そのような選手たちが活性剤となっているのだろうが、ナショナル・チームとなるとやはりお国柄が出るようである。

グローバル化が進む中で、国としてのアイデンティティをどのように出していくのかは、スポーツや産業に関わらず、科学技術分野においても重要な課題である。科学技術の発展を担う研究者は個人プレイヤーのイメージが強いが、この時世、All Japanの体制で一丸となって進めていく傾向に変わりつつある。グローバルな視点を持った個人プレイヤーとして活躍するとともに、多様な人材をまとめて組織、最終的には国の発展に、どのようにつなげていくのか。その際に、やはり国の持つ文化や国民性、いわゆるお国柄は無視できない重要な要素に思う。

欧州の各サッカーチームはグローバル化が進み、自国のクラブチームは外国人選手が多くなり、自国の選手が育っていない、といった問題も生じはじめている。人材の流動性を含めてサッカーと科学技術の世界は異なるため、もちろんサッカーの組織作りをそのまま横滑りして科学技術にあてはめることはできない。しかし、日本の良さを生かし、欠点を改善することをチーム一丸として取組み、成長していくスタイルは多いに参考になるのではないだろうか。

では、いったい科学技術における、日本らしさとは、どのようなものだろうか。日本サッカーがドーハの悲劇後、浮き沈みを経験して今があり、世界のさらなる高みをめざしてさらに模索が続くように、科学技術も模索を続けることで、日本独自のスタイルを確立し、進化していくことになるのであろう。サッカーと同じように、日本の科学技術も今後盛り上がって欲しいものである。

2011年2月28日号

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