連載エッセイVol.83を掲載しました

どうして緊急通報番号ってバラバラなのよ!?

松田恭幸

海外に渡航するとき最初に覚えるべきことの一つは渡航先の国の緊急通報用の電話番号である(と安全教育で習う)。だがこれはそう簡単ではない。警察は110番、消防・救急は119番と誰もが覚えている。しかしアメリカでは警察も消防も救急も全て911番である。フランスでも番号は共通なのだが112番で、イギリスでは999番。オーストラリアは000番、ニュージーランドは111番…という具合に各国バラバラなのだ。

日本の緊急通報番号はダイヤル式の電話機で一番早くダイヤルできる番号(1)を2回、時間がかかる番号(0、9)を最後に1回という組み合わせになっている。これは通報に必要な時間を短くしつつ、相手と話す前に気持ちを落ち着かせる時間を作るためだという。なるほど、と納得できる理由である。ならば何故他の国では違う番号が使われているのだろう?と気になった。

世界最初の緊急通報番号は1937年にロンドンで定められた。覚えやすいようにダイヤルの端にある数字を使うのが良いだろうと111が候補になったのだが、当時は回線事情が悪く、プツという雑音がたまたま3回続いたときに111だと交換機が解釈してしまい誤報になることが危惧された。ダイヤルの反対側の端にある0は交換手につなぐ直通番号として使われていたために000にすることも出来なかった。そこで999ならば間違って0を回しても交換手につながるので良いだろうと緊急通報番号に定められたのだという。

では112番はどういう理由だろう?1972年に欧州共通の緊急通報番号を決めるとき、一番早くダイヤルできるという理由から、同じく111が候補になったが、当時登場し始めたプッシュ式電話機で偶然ボタンが押されっぱなしになって111が発信されてしまう可能性が問題になった。そこで次にダイヤルする時間が短い番号として112が選ばれたのだという。

調べてみると、各国の緊急通報番号にはそれぞれに納得できる合理的な理由があることが分かる。なるほど、共通の問題に対して各々が合理的な判断をしていても結果的に結論が異なることって実は多いんだよなぁ…科学コミュニケーションにおいても心に止めておかなくちゃなぁ…などと、今年度から科学技術インタープリター養成プログラムをお手伝いさせて頂くことになった私は思うのでした。ご挨拶が遅れましたが、皆様どうぞよろしくお願いします。

(*)ニュージーランドの111番の理由はとても面白いので、関心を持った方はぜひご自分で調べられることをお勧めしたい。

2014年6月24日号

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