連載エッセイVol.102を掲載しました

科学博物館の新しい形

長谷川寿一

インタープリター養成プログラムの授業のうち、本年度から科学コミュニケーション論の一部を担当することになった。博物館、とくに科学系博物館(科学館)について、学生諸君とともに考えることにした。以前、駒場自然博物館の館長を務めたことがあり、また現在たまたま、国立科学博物館(科博)の経営委員として、科博の運営に関わっているからである。

ここで質問。科博は博物館法の規定により登録を受けた博物館である、これは正しいか?答は、ノーである。法で定められた登録博物館の設置主体は地方公共団体、一般社団法人、一般財団法人、宗教法人等であり、登録または指定する機関は都道府県教育委員会である。他方、科博の場合、設置主体も登録機関も国なので、登録博物館ではなく、法的には博物館相当施設ということになる。東大の総合研究博物館も同じである。1軍の主力選手が2軍登録されるような奇妙な事態が生じるのは、昭和26年に制定された博物館法が、数年前に小改正されたものの、時代にそぐわないからである。

さて、その科博の常設展示場の中心である地球館が昨年リニューアルオープンされた。宇宙の起源(宇宙史)から始まり、生命史、人類史へと続く地球史ナビゲーターの展示は、最新の科学の知見をしっかり盛り込み、物質科学と生命科学、人間科学をシームレスに繋ぐ見応えのある内容となっている。また、科学教育として注目すべきは、未就学児と保護者向けの展示「コンパス」で、3次元的に生態学的に配慮して置かれた動物剥製を発見する仕掛けに、子どもたちは、歓喜しながら探検の目を輝かしている。

これまで、「深海」「グレートジャーニー人類の旅」といった特別展で多くの入場者を集めた科博ではあるが、最近ではじわじわと常設展の集客数が伸びており、科博の本来の姿が具現化しつつある。

さて、東大総合研究博物館の常設展示のリニューアルも間もなくである。諏訪教授の案内のもと、その準備状況を学生諸君と実地見学したが、これまたユニークで、大学博物館らしさが満載、乞う、ご期待である。

2016年1月25日号

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