連載エッセイVol.140を掲載しました

科学技術と私たち、そして社会 これからの関係

大島まり

 昨年の夏、リスボンで開かれた学会に参加した。そのとき、同僚の研究者に、絶対良いから、是非利用すべき!と強く勧められたものがあった。Uberである。新しい物好きの割には、面倒くさがり屋の私。不自由なく利用できるタクシーがあるのに、なぜ、わざわざUberを使う必要があるのかと、同僚に尋ねた。便利で安いし、クーポンを送るから、使ってみたら、と言われ、利用することに。その後、リスボンだけでなく、続いてニューヨークと、気がついたら、Uberが使える所はどこでも利用している。しかも、私もクーポンを送って、色々な人に勧めているのだ。

とにかく便利である。スマホのアプリで予約、決済できるし、時間に驚くほど正確なのである。予約段階で、近所の車を探索し、迎えに来る時間を知らせてくれるため、ほぼ待ち時間がない。当初は、見当がつかないので、車が見つからなかったら、どうしようかと心配していた。しかし、車の車種や番号とともに、車とドライバーの写真も送ってくるので、大丈夫。ニューヨークでは、私は間違った場所で待っていたが、きちんと探し出してくれた。飛行機の時間までぎりぎりだったが、渋滞状況をきちんと把握し、行き先までの時間もぴたりと正確に予測するので、時間通りに無事に飛行場に到着。しかも、タクシーより安い。

しかし、経済性より、安全性の方が大事。特に、女性一人旅では、安全面が最重要項目である。その点も、決済の時に、ドライバーの評価があるので、大丈夫。そして、乗客も評価されるので、適度な緊張により双方にとって良い状況が作り出されているのである。

意識しないうちに、スマホ、Google、Uberと、様々なIT技術が私たちの生活に浸透し、便利な社会をつくり出している。一方、Uberの参入により、ニューヨーク市内は車が増え、渋滞や環境が悪化していると言われている。また、マンハッタンのタクシーと言えば、Yellow CABであるが、経営が厳しくなっていると聞く。最新の科学技術は、良い面だけないことを改めて感じさせられる。AIによって、消える職業、なくなる仕事が話題になっているが、Uberを経験すると、それも現実味を帯びてくる。益々発展する科学技術。科学技術と私たち、そして社会、これからの関係はどこに向かうのだろうか。

2019年3月25日号

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